○南伊勢町自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例
令和2年3月25日
条例第2号
(目的)
第1条 この条例は、町民共通の財産である魅力ある自然環境、伊勢志摩国立公園の美しい景観及び安全で安心な生活環境の保全と再生可能エネルギーの利用との調和を図るために必要な事項を定めることにより、潤いのある豊かな地域社会の発展に寄与することを目的とする。
(1) 再生可能エネルギー源 再生可能エネルギー電気の利用の促進に関する特別措置法(平成23年法律第108号。以下「再エネ特措法」という。)第2条第3項各号に掲げるエネルギー源をいう。
(2) 再生可能エネルギー発電設備 再生可能エネルギー源を電気に変換する設備及びその附属設備をいう。
(3) 事業計画 再エネ特措法第9条第1項に規定する再生可能エネルギー発電事業計画又は次条に定める再生可能エネルギー発電設備を設置しようとする計画をいう。
(4) 事業 次条に定める再生可能エネルギー発電設備の設計及び施工、保守点検及び維持管理並びに撤去及び処分をいう。
(5) 事業者 事業計画を作成しようとする者又は再生可能エネルギー発電設備を設置しようとする者をいう。
(6) 土地所有者等 事業区域に係る土地の所有者、占有者又は管理者をいう。
(7) 工事施行者 事業に関する工事を施行する者をいう。
(8) 事業区域 事業を行う1団の土地(継続的又は一体的に事業を行う土地を含む。)をいう。
(9) 周辺区域 事業区域の境界から100メートル以内の区域をいう。
(10) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(11) 地域住民等 事業区域に隣接する土地若しくはその土地に立地する建築物の所有者、周辺区域に居住する住民及び事業区域と周辺区域が活動範囲に含まれる地方自治法(昭和22年法律第67号)第260条の2に規定する地縁による団体その他これに類する団体並びに事業の実施に伴い影響を受けることが懸念される農林水産業を営む者及びその組織する団体をいう。
(適用事業)
第3条 この条例の規定は、次に掲げる再生可能エネルギー発電設備に係る事業に適用する。ただし、建築物の屋根又は屋上で行う事業は、この限りでない。
(1) 太陽光をエネルギー源とする発電設備のうち、事業区域の面積が1,000平方メートル以上のもの、事業区域の発電出力が50キロワット以上のもの又は海上を含む水域に設置するもの
(2) 風力をエネルギー源とする発電設備のうち、高さが13メートル以上のもの又は海上を含む水域に設置するもの
(3) バイオマス(動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの(原油、石油ガス、可燃性天然ガス及び石炭並びにこれらから製造される製品を除く。))をエネルギー源とする発電設備
2 町長は、前項の規定にかかわらず、この条例の規定を適用する事業として再生可能エネルギー発電設備に係る事業を指定することができる。
3 町長は、前項の規定による指定をしようとするときは、南伊勢町環境保全条例(平成17年南伊勢町条例第134号。以下「環境保全条例」という。)第27条に規定する南伊勢町環境保全審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
4 町長は、第2項の規定によりこの条例の規定を適用する事業を指定したときは、その旨を告示するものとし、当該事業の指定は、当該告示によってその効力を生じるものとする。
(事業抑制区域)
第4条 再生可能エネルギー発電事業と自然環境等の保全との調和が特に必要と認められる町内の陸域及び海上を含む水域のうち、事業の実施の抑制を事業者に依頼することのできる区域(以下「事業抑制区域」という。)は、次に掲げるものとする。
(1) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第5条の規定により指定された国立公園
(2) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第8条第1項第7号に規定する風致地区
(3) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第93条第1項に規定する周知の埋蔵文化財包蔵地
(4) 文化財保護法第109条若しくは第110条、三重県文化財保護条例(昭和32年三重県条例第72号)第35条又は南伊勢町文化財保護条例施行規則(平成17年南伊勢町教育委員会規則第31号)第2条の規定により指定された史跡名勝天然記念物
(5) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項の規定により指定された土砂災害警戒区域及び同法第9条第1項の規定により指定された土砂災害特別警戒区域
(6) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の規定により指定された砂防指定地
(7) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項の規定により指定された地すべり防止区域
(8) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の規定により指定された急傾斜地崩壊危険区域
(9) 河川法(昭和39年法律第167号)第6条第1項に規定する河川区域及び同法第54条第1項の規定により指定された河川保全区域
(10) 海岸法(昭和31年法律第101号)第3条第1項の規定により指定された海岸保全区域
(11) 港湾法(昭和25年法律第218号)第2条第3項に規定する港湾区域及び同法第37条第1項の規定により指定された港湾隣接地域
(12) 都市計画法第8条第1項第9号の規定により定められた臨海地区及び港湾法第38条第1項の規定により定められた臨港地区
(13) 森林法(昭和26年法律第249号)第25条及び同法第25条の2の規定により指定された保安林
(14) 農業振興地域の整備に関する法律(昭和44年法律第58号)第8条第2項第1号に規定する農用地区域
(15) 漁港漁場整備法(昭和25年法律第137号)第6条第1項から第4項までの規定により指定された漁港区域
(16) 三重県水源地域の保全に関する条例(平成27年三重県条例第45号)第11条第2項の規定により指定された水源地域及び同条第3項の規定により指定された特定水源地域
2 町長は、前項各号に掲げるもののほか、町内の陸域及び海上を含む水域のうち必要と認める区域について、事業抑制区域として指定することができる。
3 町長は、前項の規定により事業抑制区域を指定しようとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。
4 町長は、第2項の規定により事業抑制区域を指定したときは、その旨を告示するものとし、当該区域の指定は、当該告示によってその効力を生じるものとする。
(事業抑制の依頼)
第6条 町長は、事業者が事業抑制区域内に事業を計画していると知ったときは、事業の実施の抑制を依頼することができる。
2 事業者は、前項の規定による依頼があったときは、依頼のあった日から起算して30日以内に、文書で町長に回答しなければならない。
(事業計画の調整)
第7条 事業者は、第3条に定める適用事業について事業計画を作成しようとするときは、再エネ特措法第9条第1項の規定による事業計画の認定の申請又は事業を開始する前に、次に掲げる事項について、規則で定めるところにより当該事業計画に盛り込むよう町長と調整しなければならない。
(1) 事業の概要
(2) 事業区域の位置及び区域
(3) 事業区域及びその周辺環境における調査の内容
(4) 設計における配慮事項
(5) 施工における配慮事項
(6) 保守点検及び維持管理に関する事項
(7) 撤去及び処分に関する事項
(8) 土砂等の流出及び崩壊を防止する計画
(9) 生活環境の保全のための措置
(10) 景観保全のための措置
(11) その他町長が必要と認める事項
(1) 想定される影響
(2) 想定される影響への対策
3 事業が環境保全条例第25条第1項に規定する開発行為を伴う場合にあっては、南伊勢町環境保全条例施行規則(平成17年南伊勢町規則第94号)に定める届出書類の内容については、前2項の規定による調整を完了したものでなければならない。
4 事業者は、事業計画の内容について町長との調整を完了したときは、規則で定めるところにより速やかに当該事業計画を町長に提出しなければならない。
5 町長は、前項の規定により提出された事業計画について調整が完了したと認めるときは、規則で定めるところにより事業者に通知しなければならない。
6 事業者は、前項の規定による通知があったときは、規則で定めるところにより速やかに地域住民等を対象にした説明会(以下「地域住民等説明会」という。)を開催し、当該事業計画の内容について地域住民等の理解を得るよう努めなければならない。
(事業計画の届出)
第8条 事業者は、前条の規定による調整を完了した事業計画について、再エネ特措法第9条第1項の規定による認定の申請をしたとき又は事業に係る工事を開始しようとする30日前のいずれか早い日までに、規則で定めるところにより速やかにその旨を町長に届け出なければならない。
2 事業者は、再エネ特措法第9条第4項の規定による認定の通知を受けたときは、速やかに当該通知の写しを町長に提出しなければならない。
3 前項の規定により認定通知書の写しを町長に提出した事業者は、事業計画に定める事業に係る工事に着手するまでの間に、規則で定めるところにより地域住民等説明会を開催し、事業について地域住民等の理解を得るよう努めなければならない。
4 事業者は、第1項の規定により届け出た事項を変更するときは、規則で定めるところにより速やかにその旨を町長に届け出なければならない。
6 前項の規定にかかわらず、規則で定める変更の場合は、事業者は、町長との調整を省略することができる。
(工事の届出)
第9条 事業者は、前条第1項の規定により事業計画の届出を行った後、施工、撤去及び処分に係る工事に着手しようとするとき又は当該工事を完了したときは、規則で定めるところにより、その都度、速やかに、その旨を町長に届け出なければならない。当該工事を中止し、又は再開したときも同様とする。
2 前項の規定にかかわらず、事業者は、災害又は非常の事態の発生により、工事を緊急に行う必要がある場合は、届出を行い得る状態となったときに速やかに届け出なければならない。
(現場の確認)
第10条 町長は、前条に規定する届出があったときは、規則で定める職員(以下「監視員」という。)に現場を確認させるものとする。
2 事業者は、前項の規定による現場の確認に協力しなければならない。
2 関係書類を閲覧しようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ町長に申し出なければならない。
(報告及び立入調査等)
第13条 町長は、第8条の規定により届出のあった事業計画の履行状況を確認するため、次に掲げる事項について、事業者に対し毎年報告を求めるものとする。
(1) 保守点検の実施状況
(2) 生活環境及び景観の保全のための措置の実施状況
(3) 撤去及び処分に係る費用の準備状況
(4) その他町長が必要と認める事項
3 監視員は、前項の規定により立入調査等を行うときは、規則で定める身分証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
4 第2項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものとして解釈してはならない。
(指導、助言又は勧告)
第14条 町長は、この条例の目的を達成するために必要があると認めるときは、事業者に対し指導又は助言を行うことができる。
2 町長は、次の各号のいずれかに該当する者に対し、期限を定めて必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
(4) 虚偽の届出をした者
(6) 前項の規定による指導又は助言に正当な理由がなく従わなかった者
(違反事実の公表等)
第15条 町長は、前条第2項の規定による勧告を受けた事業者が、正当な理由がなく当該勧告に係る措置をとらなかったときは、当該事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)並びに当該勧告の内容について、経済産業省に報告するとともに、公表することができる。ただし、経済産業省への報告及び公表をしようとするときは、あらかじめ事業者に対して、その理由を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
(委任)
第16条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附則
(施行期日等)
1 この条例は、公布の日から施行し、この条例の施行の日以後に、再エネ特措法第9条第1項の規定による事業計画の認定の申請をしようとする事業者が行う事業のうち、第3条に規定する適用事業に該当する事業に適用する。
2 この条例の施行の際、現に第3条に規定する適用事業に相当する事業に係る事業計画について再エネ特措法第9条第1項の規定による認定の申請をしている事業者又は電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律(平成28年法律第59号)附則第4条第2項の規定による提出をしている事業者は、この条例の趣旨に則り、地域住民等の理解を得られるよう、この条例に定める手続等を例として、できる限りの対応をするよう配慮しなければならない。
附則(令和5年3月24日条例第9号)
この条例は、公布の日から施行する。