9月の魚病診断情報

更新日:2022年09月12日

8月の魚病診断はマダイのイリドウイルス感染症、エドワジエラ症。シマアジのα溶血性レンサ球菌症(α1型)(α3型)の6件でした。


新たなタイプのレンサ球菌症について

8月中旬、南伊勢海域にてシマアジから新たなタイプのレンサ球菌症が確認されました。
ブリ類・シマアジのレンサ球菌症は従来からのα1型、他県で平成25年頃から確認されている変異株α2型があります。一方、α1、2型に当てはまらない新たなタイプの変異株α3型が昨年より他県で確認されました。県内ではα1、2型は確認されていますが、8月中旬にレンサ球菌症α3型が初めて確認されました。
α3型の特徴
・病原性が強く重症度が高い。
・現在承認されているレンサ球菌症用ワクチンでは十分な効果が得られない。
・抗菌剤は効く。(塩酸リンコマイシンは効かない)
・外観症状は既存のレンサ球菌症とよく似ている。鰓蓋、各鰭等の発赤。重症魚は鰓蓋の発 赤が特に酷くなる。
・へい死の数が急に増加する。(今までのレンサ球菌症と思い、対策が遅れると急にへい死が増加するので注意)
対策は投薬効果のある抗菌剤の投薬です。へい死が出始めたら早期に診断機関で診断を依頼し投薬効果のある抗菌剤を使用してください。抗菌剤を投薬して1週間程で再びへい死が増加することがあります。複数回の投薬が必要となります。
カンパチ、シマアジからα3型が報告されています。

・マダイでは9、10月にかけてエドワジエラ症、イリドウイルス感染症にご注意下さい。

エドワジエラ症
エドワジエラ・タルダの感染による細菌性疾病。魚齢に関係なく夏季から秋季に多発し、慢性的に長期にわたって死亡が継続する。主に頭部に膿瘍及び腹部膨満を呈し、血糊を含んだ腹水の貯留,肝臓,腎臓および脾臓の膿瘍が形成される。低密度飼育,栄養状態を良好に保つことが発症の低減になる。平成24年にホスホマイシンが本病の治療薬として認可された。

イリドウイルス感染症
夏季~秋季に主に0歳魚で発生。多発年には1,2歳魚でも発生する。夏季の水温の高い年に多発する傾向がある。(水温25度以上が発病の目安)生簀では,狂奔遊泳する病魚が見られることがある。対策はワクチンによる予防。低密度飼育。7~10日間の餌止め。投薬は被害を増大させる可能性があるので注意が必要。

・シマアジでは9、10月にかけて上記のレンサ球菌症、ミコバクテリア症にご注意下さい。

ミコバクテリア症
本症はブリ、カンパチ、マサバのほかカワハギやシマアジでも発生が確認されている。夏の終わりごろから初冬にかけて発生し、盛期は9~10月頃である。外観症状は腹部膨満、鰓蓋や口部の出血、体表の潰瘍などであるが、症状を呈しないものもみられる。腹部を開腹すると臓器に多数の白色結節が形成される。大量死することはないが、だらだらとへい死が継続することがある。治療薬が無く、健康魚に細菌を感染させない為にも取り上げをこまめに行って下さい。

 

8月の魚病診断結果

魚種 診断件数 魚病名 年齢 魚体重(平均) 被害
マダイ 1 イリドウイルス感染症 0 21g 140尾/日
マダイ 1 エドワジエラ症 0 112g 100尾/日
シマアジ 2 レンサ球菌症(α3型) 1 815~860g 13~55尾/日
シマアジ 1 レンサ球菌症(α3型) 0 137g 11尾/日
シマアジ 1 レンサ球菌症(α1型) 1 675g 15尾/日

 

魚病診断のお問い合わせは下記の南勢種苗センターまでご連絡ください。