10月の魚病診断情報

更新日:2022年10月19日

9月の魚病診断はマダイのイリドウイルス感染症、心臓ヘネガヤ症、エドワジエラ症。シマアジのレンサ球菌症(α3型)、ミコバクテリア症の12件でした。
8月23日.9月27日.10月12日に南伊勢町8地区を三重県漁連、漁協、県、町の魚類養殖担当者が魚病調査で訪れました。調査にご協力いただいた養殖業者の皆様、お忙しい中ありがとうございました。さて、魚病の聞き取りでは、マダイのエドワジエラ症のへい死は例年と同じ程度か比較的少ない様子でした。本症は稚魚の時に高密度飼育した魚群や、給餌を制限した魚群でエドワジエラ症の保菌率が高いことが明らかとなっていますので、稚魚はできるだけ低密度で飼育し、しっかりと餌を与えることが本症の予防に有効です。へい死した魚から健康な魚に感染させない為に、こまめにへい死魚は取り除いてください。また、水温が上昇する時期にエドワジエラ症の症状(頭部の膿瘍等)が現れ始めた時に、抗菌剤で早期に対処をすることで被害を軽減している方もみえました。
イリドウイルス感染症は1地区で確認していますが、他の地区では発症していません。
シマアジは先月お知らせした新たなタイプのレンサ球菌症(α3型)の発生が継続しています。9月には新たな地区での感染が確認されました。今後、他の地区で発症する可能性があるのでご注意下さい。抗菌剤の投薬により5日~1週間程へい死は減少するが、再び増加するのを繰り返します。投薬回数が多くなると内臓に負担がかかります。強肝剤等添加物を使用することで体調を整える効果が期待できます。レンサ球菌を健康な魚に感染させない為に、こまめにへい死魚は取り除いてください。魚の様子がおかしい時は最寄りの診断機関へご相談してください。

*10月、11月はマダイはエドワジエラ症、シマアジはレンサ球菌症、ミコバクテリア症にご注意ください。

ミコバクテリア症
本症はブリ、カンパチ、マサバのほかカワハギやシマアジでも発生が確認されている。夏の終わりごろから初冬にかけて発生し、盛期は9~10月頃である。外観症状は腹部膨満、鰓蓋や口部の出血、体表の潰瘍などであるが、症状を呈しないものもみられる。腹部を開腹すると臓器に多数の白色結節が形成される。大量死することはないが、だらだらとへい死が継続することがある。治療薬が無く、健康魚に細菌を感染させない為にも取り上げをこまめに行って下さい。

9月の魚病診断結果

魚種 診断件数 魚病名 年齢 魚体重(平均) 被害
マダイ 1 心臓ヘネガヤ症 1 65g 3尾/日
マダイ 1 イリドウイルス感染症、エドワジエラ症 1 235g 3尾/日
マダイ 2 異常なし 2 725~811g 0~3尾/日
シマアジ 1 レンサ球菌症(α3型) 2 621g 4尾/日
シマアジ 1 レンサ球菌症(α3型) 1 120g 7尾/日
シマアジ 1 レンサ球菌症(α3型) 1 133g 130尾/日
シマアジ 1 レンサ球菌症(α3型) 2 796g 10尾/日
シマアジ 1 レンサ球菌症(α3型)、ミコバクテリア症 1 132g 12尾/日
シマアジ 3 不明 2 625~1085g 1~9尾/日

 

魚病診断のお問い合わせは下記の南勢種苗センターまでご連絡ください。