7月の魚病診断情報5-1

更新日:2023年07月20日

6月の魚病診断情報をお知らせします。6月の中旬頃より診断依頼が急に増加しました。マダイではエピテリオシスチス症、シマアジではレンサ球菌症(α3型)が主な診断でした。
昨年の8月よりシマアジの新たなタイプのレンサ球菌症(α3型)が確認され被害が多く出ましたが、今年は6月に入りシマアジ、マアジで診断されています。
α3型の特徴
・病原性が強く重症度が高い。
・現在承認されているレンサ球菌症用ワクチンでは十分な効果が得られない。
・抗菌剤は効く。(塩酸リンコマイシンは効かない)
・外観症状は既存のレンサ球菌症とよく似ている。鰓蓋、各鰭等の発赤。重症魚は鰓 蓋の発赤が特に酷くなる。
・へい死の数が急に増加する。(今までのレンサ球菌症と思い、対策が遅れると急にへい死が増加するので注意)
・対策は投薬効果のある抗菌剤の投薬です。
一週間程の餌止めをすることである程度へい死が落ち着いたとの事例があり、投薬と上手く併用することでへい死の減少が期待できます。
へい死が出始めたら早期に診断機関で診断を依頼し投薬効果のある抗菌剤を使用してください。
抗菌剤を投薬して1週間程で再びへい死が増加することがあります。複数回の投薬が必要となります。

*8月にかけて水温が徐々に上昇しております。今後注意していただきたい魚病について

マダイ・・・マダイイリドウイルス病、エドワジエラ症、心臓ヘネガヤ症
シマアジ・・・レンサ球菌症、ミコバクテリア症

特にマダイイリドウイルス病は水温25度が発病の目安となり、すでに各地区の5m層で25度以上に上昇しています。生簀では、狂奔遊泳する病魚が見られることがあります。対策はワクチンによる予防。低密度飼育。7~10日間の餌止め。投薬は被害を増大させる可能性があるので注意が必要です。

6月の魚病診断結果

魚種 診断件数 魚病名 年齢 魚体重(平均) 被害
マダイ 3 エピテリオシスチス症 0.1 97~296g 1~18尾/日
マダイ 1 ビバギナ症 1 292g 10尾/日
シマアジ 2 レンサ球菌症(α3型) 1 438~500g 4尾/日
シマアジ 1 レンサ球菌症(α3型)、ミコバクテリア症 1 680g 8尾/日
シマアジ 1 白点病 0 25g 20尾/日

 

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