魚病診断情報令和6年6.7月‐2号

更新日:2024年08月05日

6月から7月31日の魚病診断情報をお知らせします。マダイではビバギナ症、エピテリオシスチス症、シマアジでは吸虫性旋回病、イサキでは細菌性肉芽腫症をそれぞれ診断しました。
8月に入り南伊勢町の海域では水深5mで水温27度から30度程まで上昇する地区が見受けられます。養殖魚にとって厳しい水温であり、これから秋にかけて魚病が多くなる時期です。
高水温期に特に注意していただきたい魚病についてご紹介します。
マダイ
・エドワジエラ症は魚齢に関係なく夏季から秋季に多発し、慢性的に長期にわたって死亡が継続します。主に頭部に膿瘍及び腹部膨満を呈し、血糊を含んだ腹水の貯留,肝臓,腎臓および脾臓の膿瘍が形成されます。低密度飼育,栄養状態を良好に保つことが発症の低減になります。
・マダイイリドウイルス病は近年、南伊勢町海域での被害は少ないですが注意が必要です。夏季~秋季に主に0歳魚で発生。多発年には1,2歳魚でも発生します。夏季の水温の高い年に多発する傾向があります。(水温25度以上が発病の目安)生簀では,狂奔遊泳する病魚が見られることがある。対策はワクチンによる予防。低密度飼育。7~10日間の餌止め。投薬は被害を増大させる可能性があるので注意が必要です。

シマアジ
・レンサ球菌症は令和4年よりα3型の発症が三重県でも確認され、以来被害が増加しています。今年度も県内で発症が確認されています。抗菌剤の投薬効果はあるが、従来のレンサ球菌症(α1型)より早く再発し、終息までの期間も長いのが特徴です。
・マダイイリドウイルス病はシマアジにも感染します。マダイと同様に水温25度以上が発病の目安ですが、餌止めは効果が少ないので蔓延すると被害が増加します。対策はワクチンによる予防。

マハタ
・ウイルス性神経壊死症(VNN)は小割の底に横たわったり、転覆した状態で水面をフラフラ遊泳するのが特徴です。ウイルス性神経壊死症対策としてワクチンを2回打つことが有効でしたが、近年は2回目のワクチンを接種しても予防効果が低くなっている状況です。

魚病対策としてどの魚種についてもストレスをかけないことが大切になってくると思います。また、赤潮について養殖魚に影響を与えるプランクトンが発生したときは、最寄りの機関の赤潮情報を参考にして対処してください。

6.7月の魚病診断結果

魚種 診断件数 魚病名 年齢 魚体重(平均) 被害
イサキ 1 細菌性肉芽腫症 1 157g 30尾/日
マダイ 2 ビバギナ症 1 65~97g 2~50尾/日
マダイ 2 エピテリオシスチス症 0、1 125~367g 2~80尾/日
マダイ 1 ビバギナ症、エピテリオシスチス症 0 67g 210尾/日
シマアジ 1 吸虫性旋回病 0 80g 20尾/日
マダイ 1 不明 1 508g 15尾/日
シマアジ 3 不明 1 320~600g 2~18尾/日

 

魚病診断のお問い合わせは下記の南勢種苗センターまでご連絡ください。