本橋さん ~自分の時間を楽しめる暮らし~

更新日:2018年03月23日

南伊勢町の海は、リアス海岸の奥深くに抱かれているため、波は低くてとっても穏やか。

五ヶ所浦地区にてシーカヤックショップ「サニーコーストカヤックス」を開いている本橋洋一さんも、そんな穏やかな海に魅了されて、この町へとやってきた移住者の1人です。

現在は「五ヶ所湾」を主なフィールドとして、カヤック体験プログラムやスクールなどを運営されている本橋さん。自然を相手にするスペシャリストとして、あるいは1歳の息子を持つ一児のパパとして。

2017年1月からスタートした南伊勢町での毎日に、どのような感想をお持ちなのでしょうか。

インタビューを受ける本橋さんとご家族が写った写真。
色んな色のカヤックが並んでいるのを写した写真。

【お名前】本橋 洋一さん
【年齢】40歳
【家族構成】妻、子ども(1歳)
【移住年】2017年1月
【出身地】埼玉県
【移住前の居住地】三重県玉城町→南伊勢町
【仕事経歴】会社員→シーカヤックインストラクター(現在)

これまでの経歴を教えてください。

埼玉県出身で、社会人になってからはサラリーマンとして千葉や仙台、明石などを転々としました。

カヤック自体は2000年から始めていましたが、2009年に一念発起して独立を決意。会社を辞めて伊勢志摩に移住し、カヤックスクールでインストラクターとしての修行を始めたんです。この修行時代に何度も訪れていたのが、南伊勢町の五ヶ所湾です。最初に来たときは「こんな場所があるのか」って本当に感動しましたね。

カヤックスルークの看板を写した写真。

湾口が狭く、湾内が複雑に入り組んでいるので、水面はとても穏やか。風が吹いても沖に流される心配がほとんどありません。シーカヤックのフィールドとして、これ以上の場所を探すのはかなり難しいと思います。

「独立するならこの五ヶ所湾で」インストラクター修行も3年を過ぎる頃にはそう心に決めていました。

南伊勢への移住はスムーズにできましたか?

カヤックスクールの施設を写した写真。JSCA公認スクールである事を表すタペストリーなどが飾られている。

最初に不安だったのは、事務所と住居が見つかるかということでした。

この点では、観光協会や役場の方にも相談し、最終的には商工会の方に現在の事務所兼自宅を紹介していただきました。

町には不動産屋さんはないですが、現在は空き家バンク制度なども実施されているので、移住に興味がある方は、まず役場に問い合わせてみるのがいいと思います。

見つかった事務所は、五ヶ所湾の海岸から徒歩1分ほどの理想的な立地。住宅として家族3人で暮らすにも十分な広さで、とても満足しています。商売を始めるということで、最初はご近所さんたちへあいさつ回りをしましたが、とても暖かく受け入れてもらえたように感じています。

特に伊勢志摩地域には「助け合い」の文化が息づいていて、ご近所さんからお野菜などを頂くこともあります。お返しを持っていくと、今度はそれが倍になって返ってきたりして(笑)地縁のない移住者にとってこの習慣は、地域に溶け込むためのいいきっかけになると思いますよ。

実際に居住して気付いた南伊勢のいいところは?

防波堤に設置された階段から、本橋さんとご家族が下りて来る様子が写っている写真。
カヤックで使う道具パドル(櫂)が立てかけられている様子を写した写真。
本橋さんのお子さんが写っている写真。

一番はやはり温暖な気候ですね。まず冬にそれほど気温が下がりません。海水は真水ほど温度が下がりませんから、真冬でも内陸ほど冷え込まないんです。一方、夏場は夜になると山からの涼しい風が吹き下ろしますので、寝苦しく感じることは滅多にありません。

また海沿いの町は「塩害」に悩まされることも多いと思いますが、南伊勢は海風が吹く時間が短く、車がすぐに錆びてしまうなんてこともありませんね。温暖な気候に、塩害の少なさ。まさに「海辺の生活のいいとこ取り」ができるわけです。

もちろんシーカヤックのフィールドとしても、海の穏やかさ以外にメリットを感じる機会は多いですね。例えば観光でシーカヤックの半日体験をされる方が多いんですが、途中で上陸してゆっくり時間を過ごせるような浜が非常にたくさんあります。気候に応じていろいろなバリエーションのツーリングコースを組めますので、お客さまにも喜んでいただけます。

また関西圏・中京圏からのアクセスがいいため、大阪の方、名古屋の方、地元の方とバランスよく来ていただけるのも良かったと思います。

「海」以外で魅力的なところは?

笑顔で快くインタビューに答えて下さっている本橋さんを写した写真。

町の多くの部分が伊勢志摩国立公園内にあるだけに、海だけにとどまらず、とにかく自然が豊かな点も魅力ですよね。

職業的に冬は運動不足になりがちなので、町内に気軽に登れる低山が多いのはうれしいですね。

海沿いにある自宅から片道30分掛ければ、複数の山に登ることができますから。

なかでも馬山がお気に入りで、頂上から見える海絶景を楽しみに何度も足を運んでいます。

また「食」の豊かさもポイントだと思います。

私が生まれた埼玉県は海がありませんでしたので、長らく海産物にはあまりなじみがありませんでした。でも南伊勢では肉よりも魚を食べる機会の方が圧倒的に多くなりましたね。

干物もとても安いですし、バリエーションも豊富です。この地に移住してから、一気に魚が好きになりました。

1歳児のパパとして育児面で良かったことは?

本橋さん、奥様、お子さんを写した写真。本橋さんがお子さんをおんぶしようとしているところ。

保育所の待機児童がおらず、ものすごくウェルカムに受け入れてもらえた点ですね。

うちの子どもも保育所の一時預かり制度を何度か利用しましたし、ファミサポなどの子育て支援制度も充実しています。

また「子育て支援センター」が非常に近く、親子で離乳食教室などにも参加しました。子育てについての疑問点を気軽に相談できる窓口があることは、本当に助かりました。

あえて困っていることを挙げるとすれば、町に小児科がないことです。先日も子どもが39度の熱を出したのですが、その時は車で40分ほどかけて伊勢市内の小児科に行きました。

最後に移住者へのメッセージをお願いします

本橋さんご家族3人が仲良く散歩をしている写真。

この町での生活に向いているのは、自分の時間を楽しめる人だと思います。
読書でもアクティビティでも、趣味をしっかりと持っているような方であれば、そこにじっくりと没頭できるのではないでしょうか。もちろん町内に高速道路のインターや電車の駅などはありませんが、その分静かでゆったりとした毎日を過ごせるはずです。

私の移住当時にはなかったのですが、今は住宅の取得支援補助金などもあるそうです。まずはシーカヤック体験などをきっかけに、南伊勢の暮らしを気軽に体感しに来てもらいたいですね。